「観音さま」こと観音菩薩とは『観音経』や『般若心経』などに登場する菩薩の一尊(いっそん)。
如来(※)になるために修行中の身で、世の中のありとあらゆる人を救うために様々な姿に変身します。本来は男性であったと考えられていますが、美しい女性の姿の像が多く作られ、特に日本や中国などで広く信仰を集めています。
[聖観音]木造聖観音菩薩像(只見町)
あらゆる人を救い、あらゆる願いをかなえるために観音さまはおじいさんやおばあさん、子ども、兵士、お坊さんや、恐ろしい鬼や美しい天女など、臨機応変に33 種類の姿に変身します。(観音三十三身と言います)「三十三観音」や「三十三間堂」などの「三十三」という数字はこの三十三身に由来しています。
会津の三十三観音の札所等で良く見かける観音様を中心に、見分け方のポイントなどを説明します。
[聖観音]鳥追観音(西会津町)
1 聖観音
[十一面観音]中田観音(会津美里町)
2 十一面観音
本体の顔以外に10 または11 個の顔を持つ観音様。『十一面観自在菩薩心密言念誦儀軌経』によると10 種類の現世での利益(十種勝利)と4 種類の来世での果報(四種功徳)をもたらすと言われています。
●十種勝利
病気にならない、すべての如来に受け入れられる、金銀財宝や食物などに不自由しない、王宮で国王や王子に慰労してもらえる、すべての怨敵から害を受けない、不慮の事故で死なない、すべての凶器によって害を受けない、溺死しない、焼死しない、毒薬・毒虫に当たらず、ひどい悪寒や発熱等の病状にならない
●四種功徳
臨終の際に如来に会うことができる、来世で地獄・餓鬼・畜生に生まれ変わらない、早死にしない、来世で極楽浄土に生まれ変わる
本体の顔以外に10 または11 個の顔を持っている。
[千手観音]立木観音(会津坂下町)
3 千手観音
千の手と千の目を持つ観音様。一般的に顔が11 個、腕が42 本(十一面四十二臂)で表現されることが多い。胸前で合掌する2 本の手を除いた40 本の手が、それぞれ25 の世界を救う(25×40=1,000)ものとして表現されています。掌にはそれぞれ1 個の目を持っており、どのような衆生をも漏らさず救済しようとする、観音の慈悲と力の広大さを表しています。
一般的には十一面四十二臂の姿で、正面にある4 本の腕のうち、2 本は胸の前で合掌し、もう2 本は宝の鉢を持っている。残りの38 本の腕には宝珠や蓮華など衆生を救うための様々な道具を持っていることが多い。
[馬頭観音]厩嶽山馬頭観音菩薩坐像(磐梯町)
4 馬頭観音
[如意輪観音]観音寺・木造如意輪観音坐像(喜多方市)
5 如意輪観音
[准胝観音]准胝観音(※参考画像)
(出典:平安時代の仏像図集『図像抄』(十巻抄))
6 准胝観音
[参考文献]
・『サライの仏像の見方』 『サライ』編集部編 株式会社小学館 2010年
・『【カラー版】日本仏像史』 水野敬三郎 監修 美術出版社 2001年